5章 ゲームマスターセクション

§5−1:キャラクターの知識系能力について

 このルールには知識系の【能力】はありません。このような能力が無いことが不自由に思えるかもしれませんが、キャラクターの知識に関する判定自体は非常に簡単なものになります。
 キャラクターの知識で知っているかどうかという判定が必要になった場合、その該当する知識の分野が学習を必要とする(《特技》として習得する必要があるかどうか)を考えます。それが誰でも知っているようなものであれば、何も判定する必要はありません。学習しなければ習得できないような知識でもなく、かといって誰も知らないというような知識ならば、GMがそのキャラクターにその知識があるかどうかを考え、情報を与えるようにしてください。
 該当するその知識の《特技》をキャラクターが持っていた場合は、その知識の保有量はある程度まで融通が利くほどの知識であると思ってください。つまり、該当する知識の特技さえ持っていればその知識の範囲内では大抵のことは理解できる/知っているものであるということです。
 知っていても気がつかないかもしれないといった場合は、【感覚】か【要領】(+特技の修正)でロールさせるといった判定の仕方もあります。GMはロールの結果などに盲目的に従うのではなく、プレイヤーに対する直接的な情報提供もシナリオの演出となるように考えてみて下さい(例えば「君はその特技を持っているからこういうことを知っている・・・」等)。


§5−2:動物作成ルール

 これはZero_Systemにおいて通常の動物の能力を再現するためのルールです。


§5−2−1:動物の【基本能力】

 動物は各種族によって個体差があまりなく、能力の大半はそのサイズによって固定値になります。動物は人間とは違い、各能力はそれぞれ独立して値を設定します。


§5−2−1−1:動物の【感覚】

 鼠、兎などの小動物、一部の鹿など、他の動物によく襲われる動物なら1d4+4で【感覚】のレベルを決定します。中型〜大型の雑食・肉食動物なら1d4+2、鯨などの超大型動物なら1d4で決定します。鳥は1d2+5で決定します。


§5−2−1−2:動物の【自我】

 動物の【自我】は通常1です。大型の肉食獣は大抵2です。狩りの際に粘り強く獲物を追い続けるような動物は3です。あらかじめ戦闘用に訓練されている動物は、草食動物なら3、肉食動物なら4になります。


§5−2−1−3:動物の【共感】

 基本的に1です。感情表現が豊かな動物は2になります。


§5−2−1−4:動物の【要領】

 ほとんどの動物は1です。猿など手を器用に扱える動物は2になります。


§5−2−1−5:動物の【機敏】

 小動物は1d2+4、鳥は1d4+5、運動能力の高い草食動物、敏捷に狩りを行う肉食動物は1d4+4、象などの大型動物やそれほど動きが敏捷でない動物は1d4+1で【機敏】を決定します。海豚、鮫、鯱などは1d4+3、鯨は1d4+2で決定します。


§5−2−1−6:動物の【体力】

 子供でも抱き上げられるような小動物は1です。大型の猫や中型の犬、大型の鳥は2です。大型犬、狼の類は3です。虎、獅子などの大型の肉食獣は1d4+3で決定します。鹿の類は1d2+3で決定します。牛、馬などの荷役獣は1d4+5です。象、犀などの大型獣は1d6+6です。海豚、鮫は1d4+4、鯱などは1d4+5です。鯨は小型のものなら1d6+7、大型のものなら1d6+12で決定します。


§5−2−2:動物の移動能力

 四脚獣は1ラウンドに{【機敏】+【体力】}×2m、鳥なら{【機敏】+【体力】}×3m移動可能です(ともに全力ならその3倍)。水中生物は基本の移動力は1ラウンドに【機敏】+【体力】mですが、全力で移動する場合は、その4倍になります。
 移動速度の速い動物は何種類かいますが、その内、速度は速いが、短時間しか走れないというチータのような動物は、【機敏】が高く【体力】が低い(けど合計して高い)と言えるでしょう。逆に馬のようにそんなに俊敏ではないが、長距離を疲れることなく走るという動物は【機敏】より【体力】の方が大きいと考えられます。


§5−2−3:動物の"武器"と"防具"

 牙、爪、蹄、角など、それ自体が攻撃力を高める部位を持っている場合、その部位自体がその動物の【体力】の元レベルと同じ値の打撃力を持つ武器として扱います。
 象や犀などの分厚い皮膚や分厚い毛皮を持っている動物は、その皮膚や毛皮自体がその動物の【体力】の元レベルと同じ値の防御力を持つ鎧として扱います。


§5−2−4:動物の特殊能力

 大半の動物は人間の能力を遥かに越える特殊な能力を持っています。代表的なものとして、猫の暗視(猫目)や、犬の超嗅覚、カンガルーの跳躍力などがあります。動物の特殊能力は、主に知覚能力と運動能力に関係するものが基本となります。ここでは全ての動物の能力を説明することはできないので、ルールとしての基本的な指針を示して置きます。GMはその動物がどのような能力を持っているかを考え、以下の指針を参考にして処理してください。


§5−2−4−1:知覚系の特殊能力

 猫の暗視や犬の嗅覚など知覚系の特殊能力は、特に判定しなくても、自動的に探知・感知に成功するものだとしてください。どうしても判定が必要な場合は、【感覚】でロールした出目+【感覚】の元レベルを達成値として処理するようにしてください。


§5−2−4−2:能力強化系の特殊能力

 これは人間も同じような事ができるが、それを遥かに上回る効果を発揮する能力のことです。これは鹿やカンガルーの跳躍能力や、大型獣の筋力などがそれにあたります。動物の大半の特殊能力はこういったもののはずです。それらの能力で判定が必要な場合は、【能力】でロールした出目+【能力】の元レベルを達成値として処理するようにしてください。これは上記の知覚系の特殊能力と重なるところがありますが、それも含んだものと考えてください。


§5−2−5:動物のPC

 動物キャラクターをPCとする場合、まず問題になるのが、その動物の知能と習性でしょう。特殊な例外を除いて、動物は人間と知的なコミニュケーションをすることはできません。そのため、完全な動物をPCとするには、プレイヤー、GM双方にかなりの負担がかかることになるでしょう。よくある手段としては、PCとする動物キャラクターは何らかの理由で人間並みの知能と自我を獲得したということにすれば、キャラクターとしては(動物であることによる苦労は別として)、一応使えるものにはなります。人間の言葉が話せないけど、人間の言葉は理解できるというのなら、意志疎通には何らかの工夫が必要になります。人間の言葉を理解し、会話も可能だというのなら、キャラクターとしては問題ないでしょう。
 動物キャラクターをPCとして作成する場合、各能力は先述のルールを参照して決定してください。動物の特技は、人間と同じように実際に生きてきた年数を経験点に変換して取得してください。この年数は人間の年齢と同じものであり、動物年齢に換算したものではないことに注意してください。そして、人間並みの知能を持つ、もしくは人間の言葉を理解することができるようにする場合は、以下の特技を取得する必要があります。

《人間並の知能》知能が人並になります。
《人語の理解》人間の言葉が理解できるようになります。《人間並の知能》の特技を取得していなければ、この特技は取得できません。
《人語の会話》人間の言葉で会話できるようになります。《人語の理解》の特技を取得していなければ、この特技は取得できません。


§5−3:物体の破壊

 シナリオ上で物体を壊すことが重要になるかもしれません。通常はどの程度のダメージを与えたら壊れるというように、簡単に設定しておけばいいでしょう。しかし、いいかげんに処理したくない場合は、以下のルールを使用してください。


§5−3−1:物体の強度

 物体の耐久力は「強度」という値で表現します。どの程度の材質でどれほどの強度があるかは、以下の表を参照してください。

◆表5−1:物体強度一覧表
強度 材質
プラスチック
ガラス、ゴム、土壁
木材、石材
10 コンクリート、セラミック、軟金属(アルミニウム、鉛など)
15 硬金属(鉄鋼、チタンなど)
21 合金、複合装甲
修正 状態
+5 強化素材=元の材質強度に加算
+10 防弾素材=元の材質強度に加算
+n 分厚い(+1〜4程度)
+10 建築資材クラスの大きさのもの
−5 内部構造が複雑(強度は最低1)
−10 内部が空洞(強度は最低1)
−n 構造が劣化している(−1〜4程度。強度は最低1)


§5−3−2:物体の破壊

 物体を破壊する場合、その破壊に使用される道具(武器)によって効果が異なります。その分類としては、物体の破壊に適しているか否かです。物体が受けたダメージは「強度」から減少します。強度が元の半分以下になった物体は半壊したとみなします。

1)物体の破壊に適した道具の場合
 鈍器や構造物破砕用の道具、爆発物などは「打撃点−物体の強度」が物体に与えるダメージになる。
2)物体の破壊に適していない道具の場合
 身体武器、銃弾、刃物などでは、物体の強度より大きい打撃点が出た時のみ1点のダメージを与えることができる。


§5−3−3:物体を貫通させる場合

 通過するためではなく、穴を開けるために物体を破壊する場合、実際の強度を2倍にしてダメージを計算します。その結果、1点以上ダメージが出れば、その物体を貫通させたことになります。


§5−3−4:防具の破壊

 通常の戦闘では、防具の防御力は低下しません。防具の防御力自体は上記の物体の強度とは違い、強度と着用者をどれだけ守っているかによって修正が加わった値になっています。
 防具を狙って破壊する場合、その防御力を強度とみなして前述の物体破壊のルールに従います。防具の弱い部分を狙うなら、命中判定に−1LMする毎に強度が−1されたものとして、後はの物体破壊のルールに従います。