1章 キャラクターの作成

§1−1:キャラクターの作成

 特に指定が無ければ、キャラクターは人間です。人間のキャラクターは以下の手順で作成します。

1)GMは舞台設定を説明する。
2)プレイヤーはキャラクターの設定を考える。
3)以下の6つの【能力】に18点を振り分ける。【能力】は0でもよい(ただし、0の能力に関連する事柄には異常に劣っていることになる)。【能力】の値は全てレベルとして表現される。この6つは他の【能力】と区別するために【基本能力】と表記することもある。

◆表1−1:能力程度表
能力レベル程度
肉体的/精神的に障害あり
比較的低い、もしくは劣っている
2〜3平均的
比較的優秀
かなり優秀/普通の人の上限
6〜9非常に優秀/非凡な才能がある
10〜14万人に一人の才能を持つ
15〜人間の域を脱している

◆表1−2:【能力】=0の場合の程度
0の【能力】 程度
【感覚】 視覚と他1つの感覚器官の障害を持つ。
【自我】 非常に意志薄弱。感情や衝動の制御ができない。
【共感】 感情が死んでいる、もしくは完全に協調性無し。
【要領】 異常なほど不器用。何をやっても失敗することが多い。
【機敏】 半身不随、もしくは両足が不自由で車椅子生活をしている。
【体力】 かなりの虚弱体質。長期間の闘病生活者など。

4)年齢と同じだけの経験点を得る。この経験点で《特技》を取得すること。《特技》とは特徴、素質、技能、知識、特殊能力、雰囲気、性格などを総括したものと考える。《特技》はその有無のみで表し、同じ名前、もしくは同じ内容の《特技》は複数取得することはできない。《特技》を1つ取得するのに経験点が5点必要。この経験点は使わなかった分はそのまま残る(後述の『キャラクターの成長』の項を参照のこと)。

◆表1−3:代表的な特技例
分類 特技の例
運動系 走破(=疾走、ランニング)、登はん、跳躍、体術(=運動神経がいい)、軽業(=アクロバット)、水泳など
知覚系 視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚、追跡、探索(=捜索、観察、目星)など
隠密系 忍び足、潜伏、隠匿、変装、偽装、尾行など
操縦系 騎乗、車両運転、船舶操縦、航空機操縦、宇宙船操縦など
交渉系 値切り、魅了/誘惑、説得、雄弁/演説、尋問、拷問、聞き込み、威圧など
肉体系 剛力、持久力、頑強、頑健、反射神経など
精神系 意志力(精神力)、集中力など
戦闘系 格闘(=喧嘩、素手戦闘)、ナイフ、刀剣、斧/鎚、棍棒、槍、弓、スリング、投擲、盾、ピストル、ライフル、グレネードランチャー、砲塔(種別)など
運動競技(種別) 特定のスポーツを決める。
武術(種別) 特定の流派の名称を決める。何故この特技を取得できたのか設定が必要。
言語(種別) 特定の言語を1つ選択。この特技1つで読み書きと会話の両方が可能。
知識(種別) 特定の1つの分野に関する学術知識。必ず分野を特定しなければならない。
耐性(種別) 肉体が特殊な免疫機能を持つ。毒(種別)、病気(種別)から特定すること。
素質(特定) 両手利き、夜目、霊感、勘が鋭いなど、主に生まれつきの特殊な才能。
癖(特定) キャラクターの指向性を特定する特殊な癖。
得意技(特定) 早弁、代弁、ペンをくるくる回す、素早くお茶を入れる等。他愛も無いわりには普通の人より優れたことができるもの。
雰囲気(特定) かわいい寝顔、カリスマ、寂しげな雰囲気等。外見や印象に関するもの。
性格(特定) 特定の状況で特定の性格が全面に押し出されて調子がよくなる。状況とその時の表面化する性格を特定すること。
感情(特定) 特定の対象に対して特別な感情を持っている。憧れ、愛情、友情など、感情とその対象を決定すること。

言語の特技は、その特技一つで会話と読み書きの両方が可能。
育った場所が複数の言語を使い分ける所なら特技の取得なしで複数の言語を使ってよい。

5)その舞台設定にふさわしい所持品、所持金を決める。


§1−2:特技の解説

 ここでは特に説明の必要がある特技を解説することにします。

○《威圧》

 この特技は睨み付けたりして相手を怯ませるというものです。別名"ガンつけ"。実際に威圧を行う場合は、適切なロールプレイをしてGMの許可を得た後、この特技による修正を加えた上で、お互いの【自我】で対抗判定を行います。威圧されて負けた場合、その威圧したものに対して攻撃や他の積極的な行動を行う場合、−1LM(これについては次の章にある『レベル修正』の項を参照してください)を受けます。このペナルティーは場面が変るなどして、しばらく落ち着くことができればなくなります。

○《勘が鋭い》

 勘が鋭いことによる効果は様々なものがありますが、特技として設定する場合、勘に頼って行動する時のみ、この特技によるボーナスを得ることができます。勘に頼っている間は、他の特技によるボーナスは無効になります。

○《両手利き》

 キャラクターを両手利きにする場合は、設定だけでなくこの特技を取得する必要があります。

○《ライフル》

 この特技自体はライフルでの射撃にボーナスがありますが、ライフルと同じような使い方をする散弾銃やクロスボウで射撃する場合も、ボーナスを得ることができます。

この《特技》に限らず、武器を操る特技は、その使用する武器のバランスや使い方が似通ったもの(例えば斧とハンマーは長さが似通っており、打撃部分が重いという点でバランスが同じ)なら、その特技による修正を加えることができます。

○《武術》(特定)

 空手、柔道、少林寺拳法、太極拳など、流派として確立し、正式な訓練を受けて身につけることのできる戦闘技術です。これらの特技は流派の名前を特技の名前としてください。このような特技があるということは、その武術をどこかで学んでいたことになります。この特技を取得しているキャラクターは、どこでこの武術を取得したのか設定していなければなりません。
 この特技は、その武術で習得できる攻撃/防御方法で戦う時のみ、攻撃と防御のロールの際にボーナスを得ることができます。また、戦闘とその武術が有効であると判断した時のみ、打撃点を算出する時と防御点を算出する時の【体力】のロールにもボーナスを得ることができます。

○《反射神経》

 この特技はイニシアティブだけでなく回避の時にもボーナスを得ることができます。

○《走破》

 《疾走》、《ランニング》と書いても、特技としての効果は同じですから、注意してください。この特技があると、【機敏】か【体力】が1レベル上昇しているものとして移動力を計算してください(移動についてのルールは「4章 戦闘ルール」を参照してください)。

○《格闘》

 《喧嘩》、《素手戦闘》と書いても、特技としての効果は同じですから、注意してください。この特技はそのような戦闘において、攻撃と防御のロールの際にボーナスを得ることができます。


§1−3:雰囲気・性格・感情の特技

 一言で雰囲気、性格、感情の特技といっても、よくわからないでしょう。これらの特技はキャラクターの性格や言動ををより明確にし、キャラクターを生き生きとさせる要因になります。こんなものが特技かと疑うかもしれませんが、このような特技は良いロールプレイの指針となってくれるはずです。いくつか例をあげて説明しましょう。

a)雰囲気の特技

 例えばあるキャラクターが《寂しげな雰囲気》という特技を持っていたとします。他のキャラクターやNPCがこのキャラクターを見たときの第一印象が「なんとなく寂しそうにしているな」と思うわけです。心の優しい人や母性本能/保護欲の人一倍強い人ならば、思わず話しかけたり、護ってあげたいと思うわけです。ここでそのキャラクターに話しかけることができれば、コミュニケーションが成り立ち、出会いのドラマを作ることができるわけです。またある女性キャラクターが《かわいい寝顔》という特技を持っていたとします。このキャラクターが普段は目立たないひとかどの人物であったり、性格のきつい人物であったとしても、彼女の寝顔を見た瞬間、男性キャラクターならば思わす「か、かわいい」と思うのです。こういった様に雰囲気の特技を持っているキャラクターは本人が行動しなくても、ある程度周囲に影響を与えることができます。こういった《特技》は特に判定に用いられるわけではありませんが、その場の雰囲気を支配し、ロールプレイの支えとなってくれるのです。

b)性格の特技

 例えばあるキャラクターが《猫が好き》という特技を持っていたとします。これは単に好き嫌いの性格ですが、この性格が影響する行動をとる場合は、その判定する能力にボーナスを得ることができます。このキャラクターの場合、目の前で猫が車に引かれそうになったとき、とっさに飛び出して猫をかばうといった行動の時に判定する能力にボーナスを得ることができるというわけです。この性格の特技は、キャラクターの性格をより表面化し、ルールとしてのボーナスを与えることによって、その性格に関する事柄に対してよりロールプレイしやすいようにするためのものです。

c)感情の特技

 キャラクターが【共感】が0でない限り、必ず感情を持っているはずです。漫画などの例をあげると、「あの人が見てくれているから、この試合には絶対に勝って見せるぞ」といった考えをもっているキャラクターは、その「あの人」に対して『憧れ』の感情を持っているわけです。このような感情はそのキャラクターに活気と新たなる力を与えます。このルールではその感情の影響する行動の判定に対して全てボーナスを得ることができます。《家族に対する愛情》の特技を持っているキャラクターは、家族のために何かしなければならないとき、GMが許可すれば、全ての行動にボーナスを得て判定することができます。ただし、この時にボーナスを得ることのできる行動は家族のために何かするということだけで、それ以外の行動でボーナスはありません。往々にして感情の特技は「誰かのための何かする」ときにボーナスを得られる特技ということができます。愛する人のために何かしようとするならば、あなたは普通よりも強い力を出すことができるはずです。そうではありませんか?


§1−4:0の【能力】を持つキャラクター

 このルールでは能力が0でも構わないことになっています。0の能力は普通の人から見れば異様に劣っているもので、そういったキャラクターはある種の『極端なキャラクター』であり、なぜその能力が0なのかを説明する理由をつけておくべきでしょう。これはキャラクターに個性をつける方法の一つでもあります。キャラクターが比較的まともな人物だと考えるならば、0の能力は作らない方が良いでしょう。参考までにどの能力が0ならば、どういったキャラクターになるのかを説明しておきます。能力が0であることのルール的なペナルティーは、必要ならばGMが考えるようにして下さい。


§1−4−1:【感覚】=0

 【感覚】が0のキャラクターは視覚、聴覚、臭覚、味覚、触覚のうち、視覚を含む2つ以上の感覚器官が使用不可能になっているものと解釈することができます。こういったキャラクターは基本的に『身体障害者』であり、プレイヤーが扱うキャラクターに適しているとは言えません。自分がベテランプレイヤーであると自負できるならば、こういったキャラクターに挑戦してみても良いでしょう。
 いわゆる盲目のキャラクターは、このルールでは【感覚】は0ではありません。盲目のキャラクターは、視覚に関係する全ての行動が不可能な以外は、他の感覚器官は正常です。このようなキャラクターは視覚を使わない判定には通常どおりの【感覚】で判定します。


§1−4−1−1:【感覚】=0のロールプレイ

 【感覚】を0にしたキャラクターは、まず視覚とその他のどの感覚器官が使用不可能になるかを決めてください。このようなキャラクターはGMが与えてくれる知覚情報以外は一切無視しなければなりません。
 【感覚】=0のキャラクターは、その行動に視力を必要とする全ての《特技》を取得することはできません。


§1−4−2:【自我】=0

 【自我】が0のキャラクターは意志薄弱であり、優柔不断、感情や衝動の抑えの効かない人物であると解釈できます。このようなキャラクターは一般的な社会生活を営むことが難しく、常に誰かの援助を受けている必要があります。


§1−4−2−1:【自我】=0のロールプレイ

 極端な話、【自我】が0のキャラクターは精神的な障害者であり、その行動は常人には理解できないようなことをわめきちらしたり、動物や赤ん坊のような反応を示します。自主的に思い付いたことを行動に移すことはできません。他人の言うことは聞こえておらず、無理やり動かされない限り、好き勝手に動き回ります。
 【自我】=0のキャラクターは、衝動的に行動するための《特技》しか取得することができません。


§1−4−3:【共感】=0

 【共感】が0のキャラクターは感情表現に乏しく、感受性に乏しいため、往々にして他人から相手にされない、もしくは不気味な雰囲気を漂わせているので近寄られない人物であると解釈できます。強烈なトラウマなどで感情が『死んで』しまったキャラクターや、気が狂っているかのように周囲に対して無感動・無関心なキャラクターが【共感】が0であると言えるでしょう。


§1−4−3−1:【共感】=0のロールプレイ

 【共感】=0のキャラクターは、他の作品によく登場する無感情・無感動なキャラクターとほぼ同じです。このルールでの【共感】=0のキャラクターは、そのようなキャラクターより感情面では酷いものになります。このようなキャラクターは一切の感情の揺らぎを持ちません。感動することも、涙することもないのです。どんなにすばらしい話を聞いても、感心することはありません。感情に関係するあらゆる事象には全く興味がありません。状況を判断する必要にかられたら、周囲の損得は全く無視し、かつ自分の損得も考えずに行動しなければなりません。多くの場合、判断に迫られたら何もせずに流されるままになります。
 【共感】=0のキャラクターは、感情に関係する全ての《特技》を取得することができません。また、このキャラクターは感情が死ぬことになった設定を詳しく決めておかなければなりません。


§1−4−4:【要領】=0

 【要領】が0のキャラクターは非常に不器用で、俗に言う非常に『要領の悪い奴』と呼ばれる人物であると解釈できます。指先に障害がなくとも、言動が非常にたどたどしい人物も【要領】が0であると言えるでしょう。


§1−4−4−1:【要領】=0のロールプレイ

 【要領】=0のキャラクターは、何か行動する毎に失敗を起します。歩けは転倒し、走れば追突し、階段からは転げ落ち、包丁を持てば指を切り、お辞儀しては物を落とし、時間には間に合わず、質問の答えは必ずどこか間違っているといった具合です。
 【要領】=0のキャラクターは、《特技》については特に取得制限はありません。しかし、このキャラクターは普通の人が判定も無しに成功するような事柄(歩く、本を持ち上げる等々)でさえ行為判定が必要になります。何かする毎に【要領】で判定し(難易度は『楽勝』か『簡単』)、判定に成功すれば普通に行動できますが、判定に失敗するとその行動で何かまずいことが起きます。そのまずいことによる失敗をカバーしようとしてさらに判定しそれに失敗した場合、状況は連鎖的に悪化します。例えば、落ちていた本を拾おうとして川に落とし、覗き込んだら川に転落し、泳ごうとして溺れ、助けに来た人に捕まろうとしてその人を溺れさせ・・・といった具合になります。


§1−4−5:【機敏】=0

 【機敏】が0のキャラクターは運動神経に何らかの障害を持っている人物であると解釈することできます。半身不随や両足が不自由で車椅子に乗っているといった人物が【機敏】が0であると言えるでしょう。


§1−4−5−1:【機敏】=0のロールプレイ

 【機敏】=0のキャラクターは、他の作品で車椅子に乗っているかのような行動をすればいいので、そういう意味でロールプレイは比較的簡単でしょう。
 【機敏】=0のキャラクターは、運動や体の動きに関係する《特技》を取得することができません。


§1−4−6:【体力】=0

 【体力】が0のキャラクターは虚弱体質、もしくは長い闘病生活を送っていた人物であると解釈できます。このようなキャラクターはわずかな運動ですぐに疲労し、怪我や病気に人一倍弱いことになります。


§1−4−6−1:【体力】=0のロールプレイ

 【体力】=0のキャラクターは、【機敏】が0でなくても車椅子に乗っていることが多いでしょう。極度に低下した肉体能力を補うために、なんらかの薬物が常に必要になっているのかもしれません。このようなキャラクターは肉体労働を極端に避けなければなりません。わずかな運動ですらキャラクターを疲労させるので、汗をかいたり長時間移動するようなことがあったりすると、真っ先に弱音を吐くことになります。
 【体力】=0のキャラクターは、運動、および肉体的な強さに関係する《特技》を取得することができません。