2章 基本ルール

§2−1:行為判定

 通常の行為判定の手順は以下のとおりです。

1)行動を行うものを「行動者」とする。
2)行動者は自分の行動を具体的に宣言する。
3)GMは「難易度表」からその行動の難易度(レベル)を決め、どの【能力】で判定するのかを行動者に指示する。
4)行動者は指示された【能力】の現在のレベルに対応するダイスを「難易度表」から決定し、そのダイスを振る。この時の出目を「行動者達成値」とする。
5)GMは3)で決定した難易度に対応するダイスを「難易度表」から決定し、そのダイスを振る。この時の出目を「難易度達成値」とする。
6)行動者達成値>難易度達成値なら、行動者の行動は成功したことになる。

これ以降で「〜でロールする」とあれば、この4)の手順を行うことを指します。

◆表2−1:難易度表
レベル 難易度 ダイス
楽勝 d2
簡単 d4
d6
d8
困難 d10
至難 d12
6〜9 達人 d20
10〜14 超人 d30
15〜49 神業 d100
50〜∞ 超絶 d100+レベル
ダイスの出目が最大値/最小値だったとしてもクリティカル/ファンブルでありません。このルールにはクリティカル/ファンブルというものはありません。


§2−1−1:【感覚】を用いた判定

 【感覚】という能力は五感の鋭さを表します。この能力は基本的に「見る」、「聞く」、「嗅ぐ」、「触れる」、「味わう」といった行動の結果、どのような事がわかったかを判定するのに使用します。【感覚】は純粋に五感に関係する能力であり、第六感や超感覚的な知覚力については【共感】を用いてください。


§2−1−2:【自我】を用いた判定

 【自我】という能力は、意志力、集中力、精神力、気(性格)の強さ、頑固さ、能動的な感情の激しさ、知的生命体としての自己の認識度を表します。
 この能力を用いる判定は主に以下のとおりです。

「知的生命体としての自己の認識度」
 これは自分という概念をどれだけ正確に理解しているかということです。この認識度が高いと、固体として、個人として、独立し、単独で行動できることになります。人間や、単独で生活/狩りを行う動物は、この認識度が高く、逆に、集団や群れを基準として行動する動物や昆虫などはこの認識度が低いと言えるでしょう。この認識度は、別の言い方をすれば、どれだけ個人としての「精神的基盤がしっかりしているか」ということになります。


§2−1−3:【共感】を用いた判定

 【共感】という能力は、親和性、感受性の強さ、受動的な感情の激しさを表します。親和性とは、親しみやすい雰囲気を持っているかということで、そのまま外見の美しさに対応するものではありません。これは外見の奇麗な人物ほど【共感】が高いのではないということですが、外見の奇麗な人物ほど、【共感】が高いというのは、あながち間違いではありません。これ以外にも、【共感】の高い人物は、感情表現が豊か(喜怒哀楽がはっきりと表情に出る)であるということがあります。【自我】を理性とすると、【共感】は感情にあたります。
 この能力を用いる判定は主に以下のとおりです。


 共感は英語になおすと「エンパシー」となります。エンパシーとは超能力の一種で、他人の感情を感知する能力のことです。このルールにおける【共感】という能力も、それと同じような効果を持ち、【共感】レベルが一定以上高い(この基準はGMの判断)キャラクターは、弱い霊感も持っていることになります。GMが許可すれば【共感】は以下のような状況の判定に用いることもできます。



§2−1−4:【要領】を用いた判定

 【要領】という能力は、手先の器用さ、思考の柔軟さ、物事の理解力、手際の良さ、いわゆる"要領の良さ"を表します。この能力を用いて判定するというのは主に以下のような状況でしょう。



§2−1−5:【機敏】を用いた判定

 【機敏】という能力は、反射神経と全般的な運動能力を表します。この能力を用いる判定は主に以下のとおりです。



§2−1−6:【体力】を用いた判定

 【体力】という能力は、筋力の強さ、持久力、耐久力、体の頑丈さ、生命力、頑健さを表します。この能力を用いる判定は主に以下のとおりです。



§2−2:レベル修正(LM)

 「レベル修正」(Level Modifier、省略形:LM)とは【能力】でロールする際に、振るダイスを決定するレベルに対する修正のことです。これ以降で「〜±nLMする」とあれば、【能力】に+nレベル(もしくは−nレベル)したレベルのダイスを振って判定することになります。【能力】が6レベル以上の場合は、レベルが変動しても振るダイスが変わらない場合があることに注意してください。この修正によってその【能力】がマイナスになる場合、その判定は自動的に失敗するものとします。
 レベル修正は《特技》によるものと、状況によるものの2種類があります。

A)《特技》によるレベル修正
 その行動に有利な影響を与える《特技》を持っていれば、その影響を与える《特技》の数だけのプラスのレベル修正を得ることができます。
B)状況による修正
 GMは行動者が普通より有利、もしくは不利な状況であると考えるならば、難易度ではなく判定に使用する【能力】にレベル修正を加えることができます。有利不利な条件1つ毎に±1LMするようにします。状況による修正は道具による修正も含まれます。


§2−3:ダイス修正(DM)

 「ダイス修正」(Dice Modifier、省略形:DM)とは【能力】でロールした際に振ったダイスの出目に対する修正のことです。これ以降で「〜±nDMする」とあれば、振ったダイスの出目に±nします。ダイス修正は主に道具の効果によるもので、通常はマイナスの修正はありません。マイナスの修正によって達成値(=ダイスの出目±DM)が0以下になってしまう場合、達成値は0であるものとします。


§2−4:対抗判定

 行動が対立する場合、この「対抗判定」によって処理します。

1)行動を行って相手に影響を与えようとしている者を「能動者」、影響を受けようとしている者を「受動者」とする。
2)能動者は自分の行動を具体的に宣言する。
3)受動者は能動者の行動に対してどのような行動をするかを具体的に宣言する。
4)能動者/受動者はお互いにその行動に対応する【能力】の現在のレベルに対応するダイスを「難易度表」から決定し、そのダイスを振る。この時の出目を能動者側は「能動達成値」、受動者側は「受動達成値」とする。
5)能動達成値>受動達成値であれば能動者の試みは成功したことになる。
これ以降で「〜の【XX】と〜の【XX】で対抗判定」とあればこの手順を行うことを指します。


§2−5:行動の手加減

 あらゆる行動は好きなだけ手加減することが可能です。手加減の方法は、どれほどの−LMや−DMを行うか宣言してからロールすることによって行います。ルールで特に明記されていない限り、あらゆる判定で手加減することができます。


§2−6:行為判定時の経験点の消費(選択ルール)

 あらゆる判定の際に経験点を消費して、その消費した点数を+DMとすることができます。消費する経験点の点数は、ダイスを振る前に宣言しなければなりません。

このルールを使用するかどうかはGMが決めます。
ダイス振ってからの「経験点の消費による達成値を上昇」を可能にしてもいいですが、それを認める場合はNPCも適度な経験点(PCの所有する残り経験点の合計の半分ぐらいを主要NPCに分散させるぐらい)を持っていて、それを使用してもかまいません。


§2−7:心理判定

 恐怖や誘惑など心理的に強い影響を受けた場合、それに耐えられるかどうかを判定するのに使用します。心理判定は以下の手順で行います。

1)GMは「心理強度表」よりその心理強度を決定する。
2)そのキャラクターの【共感】+心理強度<0ならばその心理判定は不要。
3)キャラクターは自分の【自我】と、自分の【共感】+心理強度のレベルとで対抗判定を行う。
4)【自我】の達成値<【共感】+心理強度の達成値ならその心理強度に対応した影響を受ける。
5)影響を受けてしまったら、その影響に加えて、全ての行動にその心理強度と同じだけの−LMを受ける。
6)心理判定の影響による−LMは、疲労ダメージによって相殺する事ができる。1点疲労ダメージを受ける毎に、そのペナルティー−1を相殺できる。

◆表2−2:心理強度表(恐怖判定用)
心理強度 程度 影響
〜−1 驚き 瞬間的に動きが止まる。特にペナルティーなし。
冷や汗 背筋に冷たいものが流れる。特にペナルティーなし。
震え/脅え 行動が消極的になる。
恐怖/恐慌 慌てる。可能なら逃亡を試みる。
混乱/錯乱 周囲の状況把握が不可能になる。
拒否/逃亡 周囲を拒絶して自我に閉じこもる。可能なら必ず逃亡
発狂 精神崩壊を起こす。通常は完全な狂人か植物人間と化す。
6〜 ショック死 精神崩壊と同時に心臓麻痺を起こして死亡。
この表はキャラクターが恐怖にさらされる場合に使用します。誘惑などの判定にはGMが決めた強度と効果を適用してください。


§2−7−1:【共感】が0のキャラクターの心理判定

 感情が死んでいる(【共感】=0の)キャラクターは感情による影響を受けないので、通常の心理判定は不要(心理判定の影響を受けない)です。
 感情が死んでいる【共感】が0のキャラクターは、感情が死ぬ原因と同じ状況に出くわした時、心理強度5で心理判定を行います(判定と結果の処理は先述のとおりです)。


§2−8:水に浸かっている状態での行動

 水に浸かっている状態で行動する場合、「水深による行動修正表」による−LMを【機敏】で判定する全ての行動で受けます。水中で格闘や近接戦闘を行う場合、【要領】と【体力】で判定する際にも同様の−LMを受けます。水中生物や水の抵抗を受けない(受けにくい)形状/動作をするものは、これらのペナルティーを受けません。

◆表2−3:水深による行動修正表
ペナルティー状況
±0LM水深が足首まで
−1LM水深が膝まで
−2LM水深が腰まで
−3LM水深が胸まで
−4LM水深が肩以上/水中で動きをともなう行動


§2−9:群衆交渉判定

 これは演説や聞き込みなど、実際には時間がかかるが、ロールプレイするには単調な交渉を行う場合や、不特定多数の群衆に対して(プレイヤーのロールプレイを交えずに)キャラクターの能力だけで交渉する場合に使用します。この判定は以下の手順で行います。

1)プレイヤーは行動を詳しく宣言する。
2)GMはキャラクターが何を望んでいるか、どのような群衆を相手にしているのかを聞き、そこから難易度を決定する。
3)プレイヤーは【共感】か【要領】のどちらか低い方でロールする。
4)このロールが成功なら、その群集を納得させたり、群集から適切な情報を引き出したりできる。

GMはキャラクターの持つ特技やプレイヤーの行動方針などを参考に難易度を上下させてください。
この判定には《雄弁》や《説得》といった《特技》が有効です。
GMは必要に応じて使用する【能力】を指定してもかまいません(「感情に訴えかける演説をするなら【共感】で判定してくれ」等々)。


§2−10:キャラクターの成長

 基本的にキャラクターは経験点を消費することで成長することができます。以下のルールはキャラクター作成時に得られる経験点を使う場合にも使用します。


§2−10−1:経験点の獲得

 シナリオ終了後、GMはそのシナリオがキャラクター達にとって、どれほど困難なものであったかを考えます。そのシナリオの難易度を「難易度表」の難易度に当てはめ、その難易度に対応するレベルと同じ値が、各キャラクターに与えられる経験点となります。
 与えられる経験点は通常、1〜5点程度(難易度が簡単〜至難)です。シナリオの難易度を「達人レベル(6〜)」とした場合、与える経験点はその難易度の範囲でGMが決定してください。GMがそのシナリオはキャラクター達にとって楽勝(難易度レベル=0)だったと考えるなら、経験点を与えなくてもかまいません。


§2−10−2:特技の取得

 新たな《特技》を1つ取得するのに必要な経験点は5点です。シナリオの途中で《特技》を取得することはできません。


§2−10−3:【基本能力】の上昇

 【基本能力】を1レベル上昇するのに必要な経験点は(現在のレベル+1)×10点です。シナリオの途中で【基本能力】を上昇させることはできません。
 キャラクター作成時で0レベルの【基本能力】は、シナリオや状況でその肉体的/精神的な障害が取り除かれない限り、上昇させることはできません。