妖精竜の花嫁
〜Fairy dragon's bride〜


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4−8 鞘と情報

『よさそうだな。』
「(うん。)」
『ガルド、じゃあ鞘もつけてくれ。』

 ガルドはまだ茫然としていた。

”あの、ガルドはん?”
『おーい。』
”・・・は、意識が飛んどった。”
『おいおい、大丈夫かよ。アヤカ、瓶を渡してやってくれ。』
”ガルドはん、これ”
”おお、すまんのー。”

 ガルドは瓶を開けると、そのままぐびっと一口煽る。口の両側から酒がこぼれた。

”う、うま〜♪ あ、鞘な。当然付けたるさかい、心配せんでええで。”

『アヤカ、防具もあった方がいいと思うんだが。』
「(う〜ん、まあそうなんだろうけど・・・。)」

 アヤカは防具置き場を見回した。どれも自分に合うとは思えなかった。

”防具もいるかー?”
『そうだな。』

 ガルドは改めてアヤカを上から下まで見直す。

”お嬢はんの体格やと、一から作った方がええやろな。あと、動きやすさを重視するのか、防御力を重視するのかで作りも変わってくる。防具を軽めにするんやったら、盾を持つって選択しもあるでー。”

 これはアヤカにとっては難問だった。防具を一から作るということは、体の採寸をされるということだ。ガルドは汗臭い−−−今は酒臭いも加わっている−−−し、体を触られるのは嫌だった。

『どうする?』
「(う〜ん、時間がかかりそうだから今回はパスで。)」
『・・・そうだな。本格的に戦う必要があるのは、まだ先になるだろうしな。』
「(そういえば、情報収集の方は?)」
『あ、そうだった。』

 フォスは改めてガルドに向き直る。

『俺は、こうこう、こういう炎を操る魔神を探している。何か知らないか? 知ってそうな奴を紹介してくれるのでもいい。』
”そーじゃのー・・・”

 結局、ガルドからは有益な情報は得られなかった。彼が所属する炎の部族は、好戦的なものが多く、不用意に近づくのは避けた方がいいという結論になった。

「(どうするの?)」
『・・・もうちょっと考えてみるよ。』

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