3−6 逆襲と復讐 Side.とある男子生徒 白沢さんは5時間目の終わりぐらいに教室に戻ってきた。特に怪我もなさそうで、普段通りに見える。ちなみに橋村さんは早退したらしい。 「白沢さん、背中とか大丈夫?」 「ええ、ちょっとぶつかっただけみたい。もう痛くないし。」 「そうだ、机は私とこいつで綺麗にしといたから。」 「・・・ありがとう、委員長。」 白沢さんが僕の方を見る。 「・・・ありがとう、机を綺麗にしてくれて。」 「あ、うん。」 面と向かって白沢さんに話しかけられるとは思ってなかった。顔が熱くなり、鼓動が早くなる。 「もしよかったら、5時間目のノート、見せてくれない?」 普段は誰とも話さない白沢さんがぐいぐい来るようで、嬉しさ半分、緊張半分。 「ぼ、ぼくのでよければ・・・」 「ありがとう。」 ぱらぱらとノートをめくって確認する白沢さん。ノートは5分後に返却された。早っ! 次の日、登校してきた橋村さんは右腕を吊っていた。腕には分厚いギブスがはまっている。教室へ入るなり白沢さんを睨みつける。当の白沢さんはいつもどおり、我関せず状態だった。そしてまた嫌な予感がした。 そして放課後。 「あなたが犯人ね。」 白沢さんは橋村さんの取り巻きAの前に立つとそう言った。なんだろうこの既視感。 「な、なんの話よ?」 「私の靴はどこ?」 「そ、そんなの知るわけないでしょ!」 「ふーん、じゃあなんで目を逸らすの?」 「・・・」 「・・・靴はゴミ箱なのね。」 白沢さんはそう言うと、教室の後ろにあるゴミ箱を開け、中から革靴を取り出した。 「なんでわかるのよー!」 橋村さんの取り巻きAが、あきれたように言う。なんだ、やっぱりこいつらが犯人なんだ。白沢さんは取り巻きの前で立ち止まるが(ぱき)、そのまま何も言わずに教室を出ていった。 ん? 何か変な音がしたような・・・? 次の日、橋村さんの取り巻きAは、松葉杖で登校してきた。右足に分厚いギブスがついている。あれ? また既視感? このクラスのほとんどが、僕と同じ違和感を感じていると思う。何か常識外れなことが起きているはずなのに、それを誰も説明できない。見てはいけないものを見てしまったような、そしてそれが何だったのか思い出せないようなモヤモヤ感があった。 次の日。橋村さんの取り巻きBが、登校しなかった。後で事故にあって入院したと先生から説明があった。クラス委員長にプリントを持っていくように、先生から指示が出た。その日から、橋村さんと取り巻きは、白沢さんにちょっかいを出すことがなくなった。 Side.フォス 『なんでわかったかって? 俺が見ていたからだよ。』 「(誰に説明してるの?)」 |